チャート分析の移動平均線の使い方|傾き・位置・クロスの読み方
移動平均線を見るときは、価格が線の上か下か、線がどちらへ傾いているか、何と何が交差したかを分けて確認します。線を越えたことだけで売買を決めると、上下を行き来する場面を見落としやすくなります。
この記事ではMT5のGOLD1時間足に20期間の単純移動平均線を表示し、設定と読み取りを説明します。20という期間は教材の一例で、最適な設定や利益の出る手法を示すものではありません。
移動平均線は、一定期間の価格を平均した線
単純移動平均線(SMA)は、指定した本数の価格を足して、その本数で割った値をつないだものです。終値を使う20期間SMAなら、その時点の20本分の終値の平均になります。最新の足が動いている間は、その足を含む平均値も変化します。
H1なら20本の1時間足。D1なら20本の日足。同じ「20」でも見ている期間は違います。
指数移動平均線(EMA)は、SMAより直近の価格に大きな重みを置く計算方法です。SMAとEMAで線の位置が異なるのは計算の違いによるものです。どちらを使っているかを揃えて比較しましょう。
MT5で20期間SMAを表示する設定
MT5で対象のチャートを開き、ナビゲータなどから「Moving Average」を選びます。今回の図は次の設定です。
| 項目 | 今回の設定 |
|---|---|
| 銘柄・時間足 | GOLD・H1 |
| 期間 | 20 |
| 移動平均の種別 | Simple(単純移動平均) |
| 適用価格 | Close(終値) |
| シフト | 0 |
| 図の線色 | 赤 |
他の人の画像と線が一致しないときは、銘柄・配信元・時間足・期間・計算方法・適用価格・シフトを確認します。「20MA」とだけ聞いても、それだけでは同じ設定とは限りません。
MT5実チャートを「位置・傾き・交差」で読む

① 位置:価格が線のどちら側にあるか
まず、確認したい足の終値が赤線より上か下かを見ます。ヒゲが線を越えたことと、終値が線を越えたことは別です。足が確定する前なら「途中の位置」として扱います。
図1では、価格が赤線の上にも下にも出る区間があります。価格が上にあることは、その平均より高い位置にあるという情報であって、次の足の上昇を保証する情報ではありません。
② 傾き:平均値が以前より上がったか下がったか
線が右上がりなら、比較した期間で平均値が上がっています。右下がりなら下がっています。例えば図1の左側には線が上向きから下向きに変わる部分があり、その後も傾きは変化しています。
画面の縦横比や拡大率で見た目の角度は変わるため、「急角度だから強い」と見た目だけで比べないようにします。記録では「今の値が5本前より高い」のように比較対象を決めると、同じ条件で見直せます。この5本という比較幅も、観察方法の例です。
③ 交差:どちらからどちらへ越えたか
価格が赤線を下から上へ越えたのか、上から下へ越えたのかを確認します。図1の中ほどでは線の近くを何度も往復する場面があります。交差を見つけたら、前後の高値・安値や線の傾きも併せて記録しましょう。
終値の位置 → MAの傾き → 交差の方向 → 高値・安値との関係
「上に出たから買い」と一言でまとめず、観察した事実を分けて書きます。
価格とのクロスと、移動平均線同士のクロスは違う
今回の図の赤線は1本です。ここで見えるのは、主に価格とSMAの交差です。一方、短期と長期の2本の移動平均線を表示して、その2本が交差することも「クロス」と呼びます。
| 比較するもの | 何が変わったか |
|---|---|
| 価格とMA | 価格が、その期間の平均より上/下へ移った |
| 短期MAと長期MA | 短い期間の平均と長い期間の平均の上下関係が変わった |
一般に短期線が長期線を下から上に抜く交差をゴールデンクロス、上から下に抜く交差をデッドクロスと呼びます。図1には長期線を追加していないので、この2本の交差を示した図ではありません。
どちらのクロスも、すでに起きた価格変化から計算されます。天井や底を事前に知らせるものではなく、交差した後に逆方向へ戻る場合もあります。クロス後に価格が伸びた場面だけを集めても、売買方法の有効性は確認できません。
練習:線を1本にして、観察記録を作る
- MT5で銘柄・時間足とMAの設定を記録する。
- 過去の確定足を1本選び、終値がMAより上か下かを書く。
- 比較する本数を決め、MAの値が以前より上か下かを書く。
- 近くの高値・安値と合わせて、判断しにくい点も記録する。
- 右側を隠して1本ずつ進める練習では、その時点の記録を後から書き換えずに残す。
図1は過去全体を表示した説明用画像です。未来を隠した練習とは区別します。記録の雛形はチャート分析の練習方法とテンプレートにあります。
20・75・200など、どの期間がよいですか?
観察する時間足や目的により見える動きが変わるため、一律の最適値は示せません。まず1つの設定で何を平均しているかを理解し、期間を変えたときの反応の違いを比べましょう。
MAが横向きならレンジですか?
平均値の変化が小さいことは分かりますが、価格の上下幅が小さいとは限りません。実際の高値・安値、値動きの範囲を別に確認してください。
時間足を変えたら同じ線になりますか?
なりません。H1の20本とH4の20本では対象とする足が違います。時間足の選び方で役割を整理できます。
価格そのものの見方を復習する:ローソク足・高値安値の基本/水平線の引き方
定義・計算方法の参考:MetaTrader 5公式ヘルプ「Moving Average」。画像は当サイトでMT5から撮影した過去チャートです。将来の値動きや売買成績を保証するものではありません。